第6章 怖すぎて 天祥院英智
「副会長っ、助けっ……たいっ、おっ!!」
「落ち着けあんず。それと廊下を走るな」
いやいやいやっ!今だけ勘弁してっ!?走んなきゃいけなかったんだよっ!?
「びっ、B1に…!生徒会ちょっが…!出てる…!!ですっ!」
過呼吸寸前な私をそっちのけで廊下を走って行く副会長。え、待って追いつけないから。
ええいこうなったら走っちゃる!!
まぁこうなった理由はさっき言った通り。だって焦るじゃん?あの人B1出てるんだよ…?しかも龍王戦だよ…?
「や、やっぱ無理…!走れないっ……!」
元々運動音痴なのだ。走れるかい。5メートルで限界きてたんじゃい。
「ふふっ…あんずちゃんには厳しいかな。」
突如聞こえてきた優しい声。え、と振り返ると満面の笑みの生徒会長が。
「ビックリしているね。ステージの上に立っていたのは僕に変装した渉だよ。渉にはステージ上から敬人が見えたら変装をやめるように言ってあるから、そろそろやめるんじゃないかな。
ステージの上の僕を見たら君がどうするか、手に取るようにわかっていたからね。」
え、怖い。怖いんですけどこの人。
「い、いったい何故…」
「君に言いたいことがあるんだ」
え、また…?またそれ…?ていうか怖い。本当に怖い。ちょっとその話聞く前に真緒くんから胃薬もらってきたら駄目かなぁ…?
私は180度回転してそのまま走り出した。長距離走は無理でも短距離走は速いのだ。元陸上部だからねこれでも!!
「生徒会長、また後で!」
胃薬もらってきまぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーすっ!!
と叫んだのは果たして聞こえたのだろうか。
……どれだけ胃薬欲しいの、私。