第46章 クソ野郎が結婚したようです 七種茨
ってそんなことないよね!!
一番の問題は凪沙さんだった。どうやら相良先輩のことが気に入らないみたい。
相良先輩は何とも思っていないみたいだけど……
そういえば、相良先輩が話しかけることはあっても凪沙さんが話しかけているところは見たことがない。
「胃が痛いんですけど…仲良くしましょうね?」
「………何でこの人と仕事しなきゃいけないの?」
もはやこの人呼ばわりだよ。散々だよ。
「閣下、仕事は仕事ですので…」
「…………」
「閣下!」
凪沙さんは無言で部屋を出ていく。さっきから何も打ち合わせが進まないんだけど………!!
「ワタシが連れ戻してくる」
「え!?逆効果じゃ……!」
「ワタシにできないことはない……から大丈夫」
やけに説得力のある言葉だった。
二人の雰囲気を見るに、二人の間に何か一悶着あったようだ。
相良先輩が出ていった後、茨はお手上げ、というようにグダッと机に突っ伏した。
「何なんだあの二人……」
「去った者と置いてかれた者だもん、仲悪くて当然かもね~。」
と茨を宥めていると、ドアの向こうからガン!とかドカッ!とか聞こえてきた。
え!?まさか喧嘩してるんじゃ!?とか思った矢先ドアが開いた。
「閣下あぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーッ!!!!」
茨が悲痛な叫びをあげる。それが私を冷静にさせた。
相良先輩は凪沙さんを俵みたいに担いでいた。
目に飛び込んできたのはこれでもかと暴れる凪沙さんだった。
その怒れる凪沙さんから一発食らったのか相良先輩の頬は赤かった。
「相良先輩…」
「ワタシにできないことはない」
「かっこよくないですよ!?」
「やってやれないことはない」
「どこの半沢ですか!?」
どや顔決めていたけどもはや狙っているとしか思えない。茨は凪沙さんをおろせとやいやい叫んでいる。
何とかせねばと思うほど何もしたくなくなってくる。
そうだ、そうだった。
相良先輩は何でもできるけど、過程を気にしないんだ。
結果だけを見るから頑張りを評価しない。誰かが嫌な重いをしていても気にしない。成功するなら。
嫌がる凪沙さんを担いででも連れ帰るのはやりすぎだけどね。