第6章 怖すぎて 天祥院英智
あの日から、何となく生徒会長への苦手意識が高まった気がする。
おかげであの口が開いて何かを言う前にサッと立ち去る技を私は身につけた
「…えっちゃんカワイソー」
「だってしょうがないじゃんっ!!」
ガーデンテラスで紅茶を飲む。部活の時間だけど創くんと生徒会長は用事でいない。
「あんずはさぁ、えっちゃんの気持ち考えたことある?」
「それが分かんないから怖いの!すごいねって言われたらそれ褒めてますか下に見てますかとか可愛いねって言われたら馬鹿にしてますかとか子供扱いですかとか好きだよって言われたときは何がぁっ!?何がだよぉっ!ってなったしっ!!」
「あんず、あんず」
凛月くんは落ち着けと肩をポンポンと叩いてきた。私は興奮を抑えながら紅茶を飲んだ。
「好きだよって言われたとき何て言ったの?」
「そうですか~みたいなこと言ったよ?主語を聞き逃したのかなぁ。何が好きだったんだろ。」
「…いつ言われたの?」
私はうーんとその時のことを思い出す。あれは確か…
「紅茶部に呼ばれて…創くんと凛月くんはいなかったっけ。君に言いたいことがあるんだって真顔で言ってた。」
凛月くんは哀れみの目で遠くを見つめていた。
「えっちゃんカワイソー…」
「はい!?何で!?」
凛月くんはもういいやと机に突っ伏して寝てしまった。私は訳が分からず席を立った。
「もう行くから。紅茶ありがとー」
「んー…」
寝ぼけた声で応答され、風邪をひかないかなぁと心配しつつ私はガーデンテラスを去った。