第6章 怖すぎて 天祥院英智
私はたいていのものは怖くない。怖いのは…そうだなぁ……。
雷かな。大きい音にビックリするし。
あと、生徒会長。何考えてんのか分かんないから怖い。
「あんず」
凛月くんがゴソゴソと毛布から顔をぴょっこりと出した。保健室で寝るのにマイ毛布なんて用意周到すぎる。
「どうしたの?」
ついてきてと言われ、暇だったので良かったが…。寝顔を見てても暇なことに変わりはない。
私は欠伸をかみ殺した
「あんずはさぁ…」
「うん」
「えっちゃんと付き合ってるんだよね?」
私の思考回路は完全に制止した。
だって、何言ってるの…!?
「あ、あのあのあの……!違いますけど……!?もし地球上に男の人が生徒会長しかいなくなってもそれはないけど…?」
「ひどい言いぐさだねぇ…」
「てかいきなりなんなの!?」
凛月くんは毛布にくるまったままキョトンとした。
「えっちゃんとあんずが仲良くしゃべってる夢を見たから。」
「それ私に関係ないーっ!!」
思わず大きい声が出た。凛月くんはムゥと頰を膨らませた
「でも、あんなに仲良いのに」
「よくない」
「あんず、えっちゃんは……」
「生徒会長怖いもん!」
私がそう言うと凛月くんは黙ってしまった。
「あーぁ、えっちゃんカワイソー」
「そ、そんなつもりじゃないっていうか…何て言うか…その……!」
凛月くんはフーッと息を吐いた。
「…えっちゃんのこと嫌い?」
「……違うよう……でも、怖い」
「どうして?」
「何考えてんのか分かんないから。」
そう言うと凛月くんはしゃべらなくなった。それもそのはず、ぐっすり眠っていた。