第44章 明日ハレバレ良い日和 巴日和
翌日、あんずは登校するやいなや生徒会室へ直行した。ノックもせず、感情のままに扉を開ける。
ギョッとした顔の朝から働いている役員達を無視して、あんずは一番奥にいた天祥院の元へズカズカと歩み寄る。
あんずは何も言わず顎だけクイッと動かし天祥院に外に出るよう指示する。
これは相当お冠だなあ、と天祥院は苦笑してそれに従う。
二人が出て行き、生徒会室の扉を閉めると中からざわざわと役員達が騒ぎ出す声が聞こえた。
「何かな?」
理由などわかりきっていたが、天祥院は怒りのあんずにそう尋ねた。
「何で、日和さんに言ったんですか?」
その声から伝わる怒りの感謝に、天祥院はどう答えるか悩んだが、何を言っても彼女の怒りがおさまらないであろうことは明白だ。
「逆に何で内緒にしていたのかな?」
なので、あんずが一番つかれたくないであろう核心をついた。案の定、さっきまでとはうってかわってあんずは狼狽えだした。
素直だなあ、と英智はほくそ笑む。
「……私は」
あんずは言うか言わないか悩んだ末、口を開いた。
「プロデューサー……という立場、ですし……」
「ふふふ、日和くんの彼女という立場じゃなくて?」
あまりにも可笑しいので英智思わず笑ってしまった。
林檎みたいに真っ赤になってしまったあんずはむきになって言い返した。
「会長に首を突っ込まれたくなかったのに!!」
「君だけで何とかできたとでも?」
「できます。」
キッパリと言いきったあんず。
彼女は果たして知っているのだろうか……自分が学院内からどんな目で見られているのかを。
決して優しいものではない。そろを彼女一人で何とかできるとは思えなかった。
「いいかい、あんずちゃん。日和くんにだって思うことはある。わかっているのだろう?日和くんは君になんて言ったのかな?」
あんずがここに来たということは日和がすでに何かしたということだ。
やはり図星らしく、あんずは口ごもった。あまり言いたくないのか、しばらく静寂が続いた。