第44章 明日ハレバレ良い日和 巴日和
あんずは日和を放っておいて、仕事に戻った。仕事をしてるうちにとっくに暗くなってしまった。
Eveの二人は帰っただろう。
(さて、最後の仕事は………。)
それでもまだやらねばならない仕事があった。生徒会から頼まれたこの前のドリフェスの報告書だ。大分前に終わっていたけど、提出するのを忘れていた。そろそろ締め切りだし何としても提出せねば。
「失礼します」
生徒会室にいたのは、生徒会長ただ一人だった。彼は机に突っ伏してすうすうと寝息をたてている。
(…………珍しい)
思わずギョッとして、本当に寝ているのか確認するためにツンツンつついたり彼の目の前でブンブン手を振ったりしたが無反応。
疲れているのだろうか?でも、それなら起こして早く帰ってもらった方が………。
「会長」
ゆさゆさとゆする。
「会長、起きて下さい」
しかし無反応。ここまで反応しないのなら、不安になる。まさか……何か体に問題が?
誰か呼んできた方が……いや、寝てるだけかもしれない。そうやって右往左往しているうちに、モゾモゾと英智が動き出した。
「おや…………?」
英智をあんずを見るなり、クスリと笑った。机に突っ伏していたために乱れていた前髪をかきあげる。
「何か用かな?」
「………あの、報告書…」
「ああ、ありがとう。」
いつもより顔色が悪い。今にも倒れそうだ。
「会長、大丈夫ですか?」
「………………平気だよ」
「でも……」
英智はかきあげていた前髪を下ろし、丁寧に整えた。あんずから受け取った報告書に目を通しながらきっぱりと言う。
「大丈夫だから。」
威圧のこもった声に、それ以上何も言えなかった。報告書に不備がないことを確認した彼は優しく笑った。
「早く帰りなさい。………彼も待っているだろうし。」
「彼?」
「ふふふ、今頃泣いてたりしてね。」
「……………会長も早く帰って下さいね。」
彼が誰なのかは何となく察したので、私はため息混じりにそう言った。