第43章 …………マリーなんとか 乱凪沙 後編
「お加減いかがです?酔っぱらい」
凪沙さんはむくりと起き上がり、寄りかかってきた。
「…………良い感じだよ」
「ああ完全に出来上がってんな」
顔に出るタイプか。顔がまっかっかになってる。
「…………茨とは可愛く話してたのに」
「話聞いてたのかよ」
「…………茨のこと好きって言ってた」
「言ってねーよ」
ブッスーとしてギュッと抱きついてくる。
ここ数日こんなことばっかだなー……
「よしよし、ねんねしましょーねー」
ポンポン、と頭を撫でる。凪沙さんはもっと撫でてと言わんばかりにすり寄ってきた。
「…………まだ起きてたい」
「寝ろや」
ボディーブローを入れたい衝動を抑え、凪沙さんを何とか寝させようとする。
が、なかなか寝てくれない。
「…………あんずさんも一緒じゃないと嫌だ」
「寝ろ、私の理性があるうちに」
どこかの漫画の主人公かといった感じの台詞を吐き捨てると、凪沙さんは更に拗ねた。
「…………好き」
「寝ろ」
「…………好きだよ」
「寝ろ」
これは凪沙さんの十八番。
好きって言えば何とかなると思ってるらしい。
付き合いはじめの頃は何とかなってたよ!?私だってコロッと落ちたよ!?でも今となってはもう慣れたから!!
「寝付くまでいてあげますから」
でも、折れてしまうのは必ず私だった。
「…………わかった。寝るね。」
ゴロンと寝転んだら、凪沙さんは満足そうに目を閉じた。
「…………明日…一緒………………………ち………は……」
「何て!?」
凪沙さんはそのまま寝息をついた。
…………明日一緒に何だ!?
何だ!?
………ちは!?
ちはって何!?
とりあえず、茨にメールで
『ちはって何?』
と送ったら
『早く寝ましょうね!夜更かしは美の敵ですよ!』
と送り返されてきたのであいつ、許さない。