第43章 …………マリーなんとか 乱凪沙 後編
「…いや、私生粋のインドアだし凪沙さん発掘作業ばっかだし」
『確かに、お二人がデートしてたら天変地異が起こったようですね』
「あ、猫被るのやめたんだ」
やたら物言いがきつくなったな……
と、ここら辺で凪沙さんがもぞもぞと動き出した。
「……………眠い」
「寝てたくせに」
『はい?』
「あ、こっちの話。凪沙さん起きちゃったから。」
携帯を肩と耳ではさんで凪沙さんを受け止める。ズシッと一気に体重がのし掛かってきた。
「酒癖悪いんだねーこの人」
『そうですね!!意識がすぐに朦朧となりますし……重要な付き合い以外ではなるべく飲ませないようにとおもっているのですが。』
「ありがとう茨。君ってゴミクズかと思えばそうでもないよね。」
『ひどくないですか!?』
「……………立てない」
凪沙の嘆きを半ばスルーして凪沙さんを支えて立ち上がる。高校時代に鍛えた筋肉は健在ではあるが、さすがに重い。
『しかし、なぜ閣下はお酒を?』
「能天気貴族からのプレゼントだったの」
『ああ、日和殿下の!』
「能天気貴族でわかったってことは君もそう思ってるってことか」
『………鎌かけましたね』
こんな会話をしている間、私は凪沙さんを支えながら階段を上り、彼の部屋に向かっていた。
「でも、別にあの人のこと嫌いじゃないな~」
『では俺は?』
「好きとか言っとこうか?」
『あ、それはちょっと』
「だよねー」
よいしょよいしょと凪沙さんをベッドに寝かせて布団をかぶせる。
「適度に交遊関係を保てるから丁度良い感じ。」
『やたらと業務的ですね…』
「……………あんずさん、ちょっと」
寝てたと思っていた凪沙さんがグイグイ袖を引っ張ってくる。
その手をぺシぺシはたいて放そうとするもなかなかしつこい。
まさか……
「凪沙さん意識覚醒してきたかもだわ~」
『おや、そうですか!』
「ごめんね夜中に…」
『いえいえ!夜に一人で過ごすのが怖かったのでしょう!?夜が苦手って言ってましたもんね~』
「絶交しよっか」
『唐突に!?』
とりあえず電話はぶち切りした。