第43章 …………マリーなんとか 乱凪沙 後編
何だか日和さんへの嫌悪感が強くなった気がする………
「…………仕事かな?」
のそのそと寄ってきた凪沙さん。顔がほんのり赤い。
私は携帯を置いて、彼に寄りかかった。
「別に」
「…………そう」
彼も少し私に体重を預けてきた。どこか嬉しそうなのは、きっと見間違いじゃないはず。仲良くできない………というか、私が冷たく当たっていたからだろう。
あんまり構いすぎると私は彼のせいで動けなくなるし。
そうして寄り添ってテレビを見ている間に、凪沙さんは穏やかに寝息をたてた。
「……あーあ」
私は自嘲気味に笑った。
これは朝まで動けないぞ。
『今そんな状態なのですか!いやあ、閣下がそんなことなさるなんて!あんずさんの優しさの賜物ですね!』
「黙ってろ」
『電話をかけてきたのはあんずさんでは?』
茨が電話の向こうて笑う。
私の隣では凪沙にが規則正しい寝息をたてている。お酒を飲んだからか、いつもより暖かい。
「というか、凪沙さんってお酒飲めたんだね。知らなかったよ。」
『まさか!閣下はお酒なんて飲みませんよ!!私が禁止してますからね!』
「えええどういうこと!?」
思わず素が出た。茨はいつもの調子で話続ける。
『それだけあんずさんと仲良くしたかったのではないでしょうか?結果的に寄り添って寝てるのなら、大成功ですね!』
「…………そんなに仲悪いかなあ私達…」
もはやキャラを戻すのも面倒なので素のまま話すことにした。
『いえいえ仲むつまじいですよ!しかし、閣下の言う仲良くしたいは少し違った意味ではないでしょうか?』
「もう、もっと分かりやすく言ってよ」
『夫婦として、ではないでしょうか?』
茨がそう言ったことにハッとした。
そうだ……
私達…………
「デートしたことない」
『何で結婚するんです?』
茨の言うことも最もだった。