第43章 …………マリーなんとか 乱凪沙 後編
遅めの朝御飯を食べて、着替えて、お昼御飯食べて、家でできる簡単な仕事を済ませて、洗濯して掃除して晩御飯作って風呂入ってテレビでも見ようってときに
仕事がオフで家に凪沙さんがいるときはたいてい何かをやらかす。
「……………凪沙さーん」
「…………」
ソファーに、いつもより赤い顔の彼が寝転がっている。その傍らにはビールの空き缶三本。
お酒を飲んだところを見たことなかったのに、どうやら私が風呂に入っている間に三本飲み干したらしい。
彼の状態を見るに、酒豪というわけでもなさそうなのに………
空き缶に、良い日和になりますように!とかメッセージが書かれてるあたり日和さんが言ってたプレゼントとやらだろう。
あれ?凪沙さんってお酒好きなの?とか何とか思いながらとりあえす彼に呼び掛ける。
「凪沙さーん」
「…………」
全くの無反応。これやばくないか?
「凪沙さ………ッ!」
「…………あんずさんだ」
「ふざけんな酔っ払い」
いきなり寝転がるのをやめて座ったかと思えば、私を足の間にすっぽりといれて後ろからギュッと抱きついてきた。
キャー凪沙さんったらーハート
とかにはもちろんならない。
「酒臭い!」
「…………あんずさん」
後ろからガシッと私の顎をつかんできた。俗に言う顎クイである。
とりあえずそばにあったリモコンを引っ付かんで凪沙さんの眉間に打ち付けた。
彼は眉を潜めてパッと私をはなした。その隙にソファーからでて床にぺたんと座り込み、彼を殴ったリモコンでテレビの電源をいれた。
眉間を赤くした凪沙さんはゴテッとソファーに倒れるように寝転んだ。
「…………ひどいよ」
「ひどいのはあんたの酒癖だ」
「…………私のこと、大切じゃないの?」
「大切だからこそ、お酒なんて飲んでほしくなかった。」
正直に言うと、彼はいそいそと三本の空き缶を片付け始めた。
…………とりあえず、日和さんに文句を言おう。