第42章 …………マリーなんとか 乱凪沙 前編
「朝は良いよね、変装する手間が省ける!凪沙くんはお散歩かな?今の時間なら人も少ないし女の子に囲まれることもない!あ、お風呂借りて良いかい!?」
日和さんは私に返事をさせる気はないらしく、ドタドタと勝手に風呂場へと向かっていったらしい。
「おひいさん、人の家で勝手しないでください!」
ジュンが止めにかかるが、風呂場の方からドッタンバッタン音がしてしばらくした後にジュンが青い顔で戻ってきた。
「………すみません」
「今に始まったことでもないだろう」
「そうっすねぇ」
ジュンは深いため息をついた。
「そういえば、日和さんは着替えを持っているのかね?」
「………持ってないっすね…止めたのに洗濯物を普通に洗濯かごに入れてましたし…」
「ふむ……凪沙さんがいらないと言っていたジャージがある。引っ張り出してこようか。」
「す、すみません……本当に……」
「気にするな。疲れているアイドルを放っとけないのもプロデューサーの性だ。それより、ジュンはお風呂にはいらなくて良いのかね」
「俺は我が家で入りますよ」
真面目な奴だ。二回に上がり、凪沙さんの部屋に入ってジャージを拝借した。サイズは問題なかろう。下着も適当に引っ張りだしておいた。
脱衣場に着替え一式を置きリビングへ戻るとジュンが皿を洗っていた。
「あー、別に良いのに」
「お邪魔してんのこっちですし。」
「仕事明けなんだろう…凪沙さんが仕事減らしてもらってるから、その分仕事が回ってきてるんだろう?こんなときくらい休め!」
「お、俺は平気なんすけど……」
渋るジュンをリビングへ追い返し、皿を洗う。そろそろ七時にもなるだろうか。
皿を洗い終え、リビングでジュンと話していると日和さんが風呂から上がってきた。
大分時間がたったのに
………凪沙さんが帰ってこない。