第42章 …………マリーなんとか 乱凪沙 前編
次の日の朝六時に目が覚めた。目覚ましなんてなくてもだいたい目が覚めてしまう。昨日隣にいたはずの凪沙さんはいなかった。
……何だったんだあの人
とりあえずリビングにおりたが…凪沙さんの姿は見えない。朝風呂かと思ったが、浴室には誰もいない。しかしパジャマが洗濯かごの中に入っていた。次に玄関に行くと、彼の靴はなかった。
………朝の散歩だろうか。一言言ってくれれば良いものを。
やれやれ、と肩を落としたその時
ピーンポーン
インターホンがならされた。
まだパジャマだし、そもそもこんな朝早くに来るなど非常識すぎる。無視を決め込もうとしたのだが…
ピンポンピンポンピピピピピンポン
インターホンを連打してきた。連打しすぎてピピピピ言ってるではないか。
相当の曲者らしい。腹が立ったので文句を言ってやろうと玄関のドアを開けると……
「やあやあ!元気!?今日は良い日和!!まだ朝だけど!」
「…………すみませんあんずさん」
「…とりあえず朝から家の前で騒がないで下さい」
私服でラフな姿のEveの二人がそこにいた。インターホンを押していたのはもちろん日和さんで、ジュンは必死に謝ってきた。
「あんずちゃん、上がっても良い!?お腹すいたね!!」
「おひいさんッ!!」
「あぁ、もうどうぞどうぞ。私パジャマですけど構いませんよね?」
「あんずさん、俺つれて帰りますんで…」
「良いのだよジュン…………こうなったらテコでも動かんのだろう?」
あ、今の敬人さんみを感じる。~みはスバルみを感じる。ああややこしくなってきた。
半ばやけになって二人を家にあげた。
朝ごはんがまだらしい。どうやら仕事明けで、朝帰りのようだ。
凪沙さんの朝はパン派なのだが、日和さんはご飯派らしい。昨日の晩御飯に余った冷やご飯しかないがとりあえずそれを暖めた味噌汁を作り、卵焼きを焼いた。
「すごくおいしいね!!わざわざありがとう!!」
ああ、この人お礼言えたんだなあとしみじみと感動に浸った。