第42章 …………マリーなんとか 乱凪沙 前編
晩御飯を食べて(手抜き)風呂に入り、ゆっくり就寝…………という流れなのだが
今日はゆっくりと眠れなさそうだ。
「凪沙さん、自分の部屋で寝てください」
「…………嫌」
私のベッドの上に堂々と眠る凪沙さん。ああ何なんだあんたは。
「…………おいで」
「うおっぶぉい!!」
グイッと腕を引かれベッドに入れられる。力加減できないのかこの人。おかげで思いっきり鼻を打った。
「覚えてろ明日の朝トーストに蜂蜜三倍増しでかけてやる」
「…………あんずさんが用意してくれたものなら何でも食べる」
いや食べるな!?そこはやめてって言え!?
ていうか何故に私と一緒にシングルベッドで寝ようと思ったんだ狭すぎる。
電気を消し、ベッドにあったライタスタンドをつけて読書をしだす凪沙さん。
いやほんとあんたなにしに来たの
「…………この本、マリーなんとかっていうのを題材にしてるらしい。」
「マリーなんとか?」
「…………結婚前に花嫁が不安に思ったりする精神的症状」
「それマリッジブルーだな」
マリーなんとかて。
マリしかあってないじゃん。
「…………私は平気だから」
「何の話でしょう?」
「…………あんずさんがマリーなんとかでも」
「マリッジブルーだよ記憶力ずば抜けてるのに何で覚えられないのかね」
凪沙さんは本を枕元に置いた。マリッジブルーも覚えられないならあの本の意味はないな。
ていうか、私がマリッジブルーになってるって気づいてたのかこの人。
「すみませんね」
「…………胸でも貸そうか」
彼は体をこちらに向けてきた。
私はギュッと彼に抱きついた。
「……お借りします…」
暖かい彼の体温に、ホッとする。凪沙さんは私の頭に手を置いて、優しく撫でてくれた。
「…………おやすみ」
その言葉を聞いて、私は眠りについた。
やはり敵わないな…凪沙さんには。