第41章 君は高校生だった 天満光
もう逃がすものかとその手をを掴んでいると……
「ちょっと!?何をしてるの!?」
「走ってる人間の前に飛び出す奴があるかあああああ!!!!!」
珍しく部活に来ている嵐くんと、三毛縞先輩からの怒号が飛んできた。
「怪我はないか?」
そしてあせあせと私達の体を心配する乙狩くん。
お互い、特に目立った怪我はない。
「帰るよ天満くん。皆君を探してるんだから。」
「はーい!」
「何平和に終わらせようとしてるの!」
嵐くんや三毛縞先輩は許してくれず、ひたすら私が怒られることとなった。
もしかしたら天満くんも怪我をしていたかもしれないのだ。怒って当然。
しかし、乙狩くんが懸命に庇ってくれたので説教も短くて済んだ。ありがとう、とひたすらお礼を言うと気にするな、と微笑んでくれた。
「じゃあ、もう二度とこんなことしないようになあ!」
三毛縞先輩にそう釘を刺され、私達はレッスン室へ戻った。他のメンバーも携帯で呼び戻し、レッスンがようやくスタートした。
「…うわー、雨だ………」
レッスンが終了し、いざ帰ろうとなると……レッスン室の窓に、勢いよく水が叩きつけられているのを真白くんが発見した。
「こりゃ雨脚が弱まるのを待った方が良いな…皆、時間大丈夫かー?」
仁兎先輩がリーダーらしくキビキビ動く。
傘はあるが、この猛雨では無意味だろう。
「んじゃ、少し居残りするか…。延長届け出してくる。」
「あ!校内アルバイトの洗濯物を干したままです!」
「なら俺も行くよ、創」
皆が雨でドタバタと動きだす。私はたまっていた書類を片付けようと、レッスン室の隅っこで紙と向かい合った。
天満くんは、皆がいなくて寂しいのか珍しくポツンと1人でジッとしている。