第41章 君は高校生だった 天満光
「一等賞ダ~ッシュ!!!」
「天満くん!!」
彼は分け目も振らず、レッスン室を出て廊下を大疾走する。あぁ、椚先生や蓮見先輩に怒られる未来が安易に想像できる。
レッスン室へ早めに来たかと思えばこれだ。きっとジッとしていられないのだろう。
元気がないより、マシだけど。
「お、あんずか。」
途方に暮れていると仁兎先輩が入ってきた。
後ろに他のrabbitsのメンバーもいる。
「すみません、天満くん逃がしちゃいました。」
「あんずさんが謝ることじゃないですよ……」
ため息交じりにそう言う私を、真白くんがフォローしてくれる。
「うぅ…でもこれじゃレッスンできないし、探してくるよ」
「僕達も手伝います!皆で探しましょう!」
紫之くんが愛らしく笑って、そう提案する。
皆それに賛成し、急いで天満くんを探しに散り散りとなった__________
のが、数分前である。
散り散りになってすぐ、私は天満くんを発見した。
グラウンドを、陸上部員と一緒に制服で走り回っている。
呆れた!こんなとこで走り回ってるなんて!!
走りにくい制服のはずなのに、どうしてあんなにはやいのだろう。
「天満くん!」
とりあえず名前を呼ぶが、聞こえていないらしい。
しょうがない。早速最終手段といかせてもらおう。時間は待ってくれないのだ。
私はローファーの爪先をトントンと踏みならし、走り出した。そして先回りをして走り回る彼の目の前にバッと飛び出る。
「わ!ねーちゃん!?」
驚く彼が、急に止まれるわけもなく。
当然、そのままぶつかった。
天満くんと私は、ぶつかった衝撃で転んで1回転する。
「ハイ捕まえた」
お互い、グラウンドの土でドロドロになってしまったが………
彼の捕獲に成功した。