第40章 愛なんてなかったのだ 三毛縞斑
確かに。会いに行こうとしてたけど。……こんな展開は望んでない。
私はそのまま腕を振り切って逃げた。
「待ってくれ!!」
もちろん、私より彼の方が速いので即刻捕まった。
駄目だ……
(恋なんて自覚したから顔さえ見れねぇ………!!)
「あんずさん、俺は………!」
「手、手を離せ!離せ~~ッ!!!」
今まで何気なく手をつないでいたのに、もうそれは出来そうになかった。
「あ、すまない!でも離したら逃げるだろう?」
「逃げるけど離せ!触るな!近寄るな~!!!」
好きなくせして私は何を言っているんだ!?
しかしこれ以上接触していたら私の心臓が爆発する。
「…ッ!」
突然、斑が手を離した。逃げようともがいていた私は派手にスッ転んだ。
「いってーな………」
まぁ何でも良い。このまま逃げよう………としたのだが、斑が再び腕を掴んできた
すぐ側にある空き教室にズンズン向かい、私をそこに入れて自分は逃げられないように扉の前に立ち塞がった
「ちょ、そこどけよ!!」
「お口が悪いぞ?」
いつも通り笑う彼。しかしどこか淋しそうな……
いや待て。何だこの状況。何で空き教室?何で二人きり?何でこうなった?
「お前……さっきから何がしたいんだよ!?」
「…………………………軽音部の部室にある窓から見えていた」
「はあぁ?」
駄目だ、話が通じない。窓から脱出とか出来ないかなあ、と考えていると……
「零さんと抱き合っているところが」
「…………あー、あれね。あれはな…………。私が……」
何て説明しよう。『あなたを思って泣いていたのウフ』とか言ったって…………。
「見間違いじゃあなかったんだな」
スッと斑が動く。こちらへ近づいてくる。
「だあぁ!ホラ!あるじゃん!無限の包容力に包まれたいときッ!あれだよあれ!!」
斑は何も言わない
え、ていうか何でこんなことになってんの?怒ってるの?何なの?
ていうか近寄らないで欲しい。緊張してしまう。
「な、泣いてたから慰めてくれてたというかそういう抱き合うではなく包容力バンザイというかあのそのえっと……?」
駄目だ、自分でも分からなくなってきた。とりあえずアレだ、斑が怖い
よし、とりあえず……分かろうとすることから始めよう。これ大切!