第40章 愛なんてなかったのだ 三毛縞斑
「あんず~」
名前を呼ばれて目を覚ました。
あの後、泣きはらした顔で教室に戻りたくなかったので………
屋上に来て、いつしかの彼みたいに寝ていたのだった。
「珍しいな!あんずがサボりか!それより寒くないのか?」
「お互い様だろ……ブレザーとパーカーどこに置いてきたんだよ。」
「ハッ!またどこかで落とした!」
月永先輩はシャツ一枚で神とペンだけ持っていた。きっとインスピレーションの赴くままに行動したんだろう。
「ていうか、何でこんな所で寝てたんだ?」
「…………………………こんな所で寝る、馬鹿の気持ちを知りたくてな。分かろうとすることから始める。これ大切。」
先輩は何のことだ?と首をかしげる。
「ここで寝ると寒い。今日も雪が降るんだろーな。曇ばっかで太陽ねーし。何より一人っての寂しい。
…………あの人はどうか知らないが、私は誰か来てほしいって思ったよ。」
ブツブツ呟いていると、先輩はいつもみたいな底なしに明るい笑顔ではなく落ち着いた笑顔を浮かべた。
「ママの気持ち、分かったか?」
私は黙って首を振った。
「だろーな!それなら妄想しろ!想像しろ!分からないことをウダウダ考えるな!!」
「………………そう……うん、そうだな。」
私は体を起こして、ウンと伸びをした。
「ありがとう先輩」
「俺何かしたか?」
「起こしてくれた」
「そうかそうか!」
私が屋上から出ると同時にチャイムが鳴る。時計を見るともう、放課後が始まる時間。
………大分寝てたな。
斑の教室に行かないと。早くしないと帰ってしまう。
と、猛ダッシュしていたら
グイッと腕を引かれた。しまった、生徒会か___?と、とりあえず謝っとこう。
「ごめんなさい」
「いや、そんな……いきなり謝られてもだなあ」
生徒会ではなかった。そこにいたのは
三毛縞斑だった。