第40章 愛なんてなかったのだ 三毛縞斑
「ママ」
私の家の前に着く直前で、私は彼に話しかけた。
「ママは私をどう思ってる?」
「あんずさん………?どうと言われてもなあ…」
「私はママのことお母さんみたいに思ってる。でもだからと言ってママは私を娘と思ってるのか?」
分かろうとすることから始める。何だか難しいがこれしか思いつかなかった。
「………それは」
「ママは卒業する。アイドルだし、私と違う道に進んでいく。私はいつまでもこうしているつもりはないぞ。」
正直に言うと、彼はザッと私の前に立ち塞がった。
「…………………俺は」
「ママ、もうやめよう。おままごとなんて。」
「……俺はあんずさんが」
ママが言い終わる前に、私は告げた。
「さよなら、ママ」
私は深く息を吸った。
「私は_斑が
______大好き」
それだけ言って、私は彼の脇を走り抜けた。
なぜかポロポロ涙が出る。
ママなんかじゃない。
彼は三毛縞斑なのだ。
お母さんじゃない。立派な男子高校生だ。
きっと私達…お母さんと娘の間に愛はなかった、なかったのだ。
愛なんてなかったのだ。
最初から全部_____
恋だったのだ。