第40章 愛なんてなかったのだ 三毛縞斑
「うっちゅーーーー!!!」
廊下で月永先輩に捕まった。今日はインスピレーションが最高だとか何とか。
「……先輩はママと仲良いよな?」
「急になんだ!?あ、待って!言わないで妄想するから!!」
「その、ママは…………」
「何だあ?俺の話かあ?」
突然現れてビックリしたが、ここは廊下の真ん中。会わない方が難しい。
「俺とママは仲良しだなって話だろ?」
月永先輩は私の心中などつゆ知らずそう言う。もう面倒くさいしそういうことにしとこう。
「そうかあ!あんずさんと俺も仲良しだよな!」
ママは豪快に笑う。
「あんずさん、昨日のマフラー今日帰すからなあ!今は忙しいから、また後で!」
一方的にそう言って、ママは去っていった。
「忙しい…?」
「もう卒業だからな!」
月永先輩が何気に言った言葉が私の胸に残った。
ママが来ない。
かれこれ30分は待ったか。寒いし、雪も降ってる。マフラーないのに………。
さっさと帰りたいが聞きたいことがあるのでそうもいかない。
もう良い。何時間でも待ってやる。
と決意した途端に
「待たせたなああんずさん!ココア買ってきたぞお!はいマフラー昨日はありがとうなあ!!!!!」
と無駄に大声で走ってくるので勘弁してほしい。
「ココアありがとうマフラーどういたしましてあとうるさい」
「わっはっは!!!」
うるさいと言うに……
「昨日寄り道したし、今日まっすぐ帰るぞ」
ママは私の首にマフラーを巻きながら、朗らかにそういった