第39章 溺愛大作戦 葵ゆうた
「ライブだあ!?」
「お客さんを集めるためだよ!!」
何と、砂浜で歌って踊れと言う。いやたしかにやってやるとはいったがこれは聞いてない!!
「おい零!ぜってーおめぇの策略だろ!?」
「人聞き悪いのう。………そうじゃけども何か?」
「開き直るな!!」
「ミュージックスタートッ!!」
「おいひなたぁぁぁぁぁ!!!!!」
こりゃもうやるしかない。
……この歌は夢ノ咲の授業で使われるヤツか。ダンスもまあ………何となく覚えてる。
(もうどうなったって知らねー…)
俺は覚悟を決めてマイクを握った。
「………あれでブランクあるんですか…?」
ゆうたが…その場にいた全員が唖然とする。ブランクがあるとは思えないほど強師は堂々と歌い踊っている。
それに素晴らしいパフォーマンスだった。
「強師くんには、確かな実力があるのじゃ。………裏を返せば、それしかなかった。夢ノ咲で誰かと繋がり続けるためには…………友達でいるためには、な
強師くんはわかっておったのじゃよ。所属していたユニットのメンバーも、必要としていたのは強師くんではなく彼の実力のみ。
しかしそういうことでしか友達を作る術を彼は知らなかった。
その結果、あのようなことが起きてしまった。」
零の語りに皆聞き入っていた。
あんずは泣きそうになりながら。
「………大丈夫ですか」
コソコソとゆうたが尋ねる。
あんずは黙って頷いた。
「あ、あの……」
そんな二人に翠が声をかける。
「仙石くん知りませんか」
「………いないの?」
「いません。鉄虎くんが探しに行ったんですけど。」
「うーん、じゃあ探してこようか?」
「あんずさん一人は心配なので………あ、ゆうたくんついて行ってあげて。」
「わかった」
そうして二人が去った後、翠は零に尋ねた。
「…………これで良いのです?」
「うむ!中々良かったぞい。二人とも、もうでてきて良いぞ。」
物陰に隠れていた鉄虎と忍がスッと出てくる。
「これで二人っきりじゃぞい」
「ありがとうございます!」
ひなたは零に感謝した。