第39章 溺愛大作戦 葵ゆうた
「ゆうたくんこれで良いの?」
「は?」
準備中、ひなたがニヤニヤしながらゆうたに耳打ちする。
「このままじゃあんずさんを強師さんにとられちゃうよ?海で一緒に遊びたかったんでしょ?」
「うーん………でもまぁ、あんずさんが喜んでくれるなら何でも良いし。喜んで手伝うよ。何でもやる。」
その控え目な意見に、ひなたは不憫に思い零に相談した。
「なるほどのう………アチラこちらで問題発生じゃ。よし……どら、流星隊の。ちとこちらへ来てくれんかの。」
その呼びかけで、翠、忍、鉄虎が集まった。
「安心おし。おじいちゃんが何とかしてやるからの。」
そうウインクして、何やら四人でコソコソ話しだした。
店番しようにも、ピークは過ぎたらしく客足はバッタリ。暇なので机に座っていると………店の奥からジィッと浜辺を見つめるあんずがいた。
「…………………お前何してんの」
「ゆうたくんウォッチング」
目をキラキラさせて幸せそうなため息をつく妹。何なんだ。コイツホントに何なんだ。
「何かやってるけど、あれ俺もやった方が良いのか?」
「え!?いや、きょーちゃんはいいんじゃない!?だってほら………きっと何の役にも立たないし!」
「ぶっ飛ばすぞテメェッ!!!…………ってまあ、やる気ねえし良いか。で、お前ここで何してんの。」
するとまたゆうたくんウォッチングだよ!と返された。彼氏なんだから間近で見ろよ、と思ったが面倒くさいので黙っておく。
「ねえきょーちゃん。もしもさ、もう一回アイドルやってって言われたらやる?」
「………………やんねー」
いきなり何を言い出すかと思えば、くだらない。
「俺はあん時ユニットを脱退させられてる。今の夢ノ咲じゃソロは無理だかんな。」
「じゃあソロで出来るってなったら?」
「面白そうだな、やってやるよ。」
すると次の瞬間、あんずは俺の手をつかんで引っ張った。