第38章 俺の奥さんちびっ子さん
(さーて、プレゼント何が良いっすかねぇ……)
ジュエリー系が良いだろうか、と思ったがあんずはそういうのに全く興味がない。
アクセサリーと言っても、いつも髪をポニーテールにしているだけだし……
(そもそも使い方がわかんないっす……これとかどういうもんなんすかねえ……?いや、若い子向け……?姉御…あんずさんは26歳だし………もうちょっと大人っぽい………)
とかうんうん悩んでいるうちに………
「ねえあの人格好良くない?何かアイドルの南雲くんに似てない?」
「本当だ~。彼女にプレゼント選びかなあ」
とコソコソ話されていたのだが集中力マックスの彼には何も聞こえていない。
ここに鬼龍がいたら高校時代のようにもっと周りを見ろと言うに違いない。
(でも姉御なら何でも似合うっすよね。これで良いかな!)
レジに行き会計を済ませ、あんずを探す。
しかし見つからない。スマホで連絡をとろうとすると、『外に出てる』とメールが来ていた。
「姉……あんずさん、お待たせっす。」
「雪」
鉄虎に答えず、空に手をかざすあんず。どうやら雪を見て外に飛び出したらしい。
「おお!えーっと、何ていうんすかね………ホワイトクリスマスっすか?」
「そうだね、ホワイトクリスマス。高校の時もあったよね。鉄虎くん、サンタさん信じてた。」
クスクスとあんずが笑う。その頰が真っ赤なので、何気なくツンとつついて触ってみると
「冷たッ!?あんずさん、めっちゃめちゃ冷えてるっすよ!?」
「あら大変。気付かなかった…………さ、ささ寒い。」
今になってガタガタ震え出すのだから呆れてものも言えない。
「はい、これ!巻いとくっす!」
鉄虎が自分のマフラーをあんずに巻き付ける。
「鉄虎くん寒くないの?」
「平気っすよ!黒い炎が燃えてるっすから!」
何だか今日は高校時代のことを良く思い出す。
それでも悪い心地はしなくて、2人はクリスマスの街を歩いて行った。