第37章 シスコンも大概に 春川宙
「でもね、私の心の病気はだんだんひどくなっていって………ひどいときは、ストレスで声も出なくなった。」
「心の病気まではどうにも出来ないからね…………僕は困ったよ。」
それでも、助けようとしてくれた。ある日、突然、皇帝陛下となった優しい兄様。
「私が心の病気はストレスからくるものだったから、ストレス発散の場となってくれたんだ。皇帝陛下として、私が兄様を恨むことで………
心の病気も、使用人のことも、ありとあらゆることを皇帝陛下のせいにして。
それで私は救われていた。」
「………………僕はそれで上手くいってると思っていたよ。なのに、今回のことで間違っていたと気付いた。君が倒れたと聞いて、どれだけ慌てたかわかるかい?」
急にしんみりしだす兄様に、何も言えない私に変わって宙くんが口を開いた。
「分かりました!あんずはお兄さんのことが大好きだから、全部お兄さんのせいにするのが嫌だったんだな~!!」
「そ、宙くんッ!?」
顔が真っ赤になるのがわかる。
誰にも言ってこなかった、本当のことを。まさか彼に暴露されるなんて!!
「………訂正させて。大好きではないから。断じて」
「あ、嘘の色がでたな~」
「ふふふ、それは嬉しいな。僕も君が大好きだよ。だから………
そろそろ離れようか。」
私から宙くんを引き離す。
「いや~ん兄様ったら!私から宙くんを離さないでくださ~い!」
「こら、まだ入院してる身なのだから大人しくしなさい。」
「宙もあんずに元気になって欲しいな~!心の病気は、皆で一緒に解決しましょう!お兄さんだけじゃなく、ね?」
宙くんがそう言うので、私はやけに納得してそうだね、と笑った。