第37章 シスコンも大概に 春川宙
「宙くんこっちこっち!」
「あんず、待って欲しいですッ!」
ワイワイガヤガヤと人の群れ。
そう、私は夏祭りに来ていた。
「hihi~、あんまりはしゃいじゃ駄目な~?まだまだ病気は治ってないんだからな~」
「わかってますよう!でも大丈夫、ちゃんとカウンセリングも受けてるし、毎日毎日宙くんや兄様に辛いことや悲しいことは相談してるから。
本当にありがとう、宙くん」
改めてお礼を言うのは照れる。でも宙くんはいつも通り笑ってくれた。
「わああれ何かな何かなフワフワ!!」
「綿あめな~」
「あめなの…?食べたいけど大きいな………食べきれないかも」
「haha~、なら宙と半分こするな~?そしたらきっと食べきれるな~?」
と、いうことで2人で一つ買う。
「でも、よくお兄さん祭りに行くことOKしてくれたな~?」
「これもカウンセリングのうちだって、先生が説得してくれたの。先生もいい人。美味しいね、これ。」
綿あめを2人でモグモグしていると、宙くんが宙を指さした。
「あんず、宙が魔法をかけます!」
「魔法?」
「呪文を唱えましょう!宙と一緒に~!さんはいッ!!」
急にそう言い出すので焦ったが、このパターンはもうあれ一択だ
「「hahihuheho~!!」」
次の瞬間、空に花火が上がった。
「……すごい!すごいすごいッ!!」
さすがに本当に宙くんが魔法をかけたことを信じはしないけど。でも、時間ピッタリ。それは本当に凄いと思う。
「花火あるなんて知らなかったよ~!家の中でしか見たことないの!」
「それは良かったです!宙は、あんずと花火が見れて幸せな~!」
今年の夏は色んな事があった。兄様と仲直りして、宙くんとは花火が見れて、心の病気はだんだん治りつつあって。
本当に幸せだと思う。本当の本当に。
「宙くん、幸せの色!」
「……あんずも見えるんです!?」
「ううん、見えない、でも感じる!」
こんなに笑ったのは久しぶり。宙くんもいつも以上に笑ってるし。
本当に幸せ。
「amazing!英智、なぜ花火を見ずに妹をガン見しているのですか!?なぜ妹を連写しているのですか!?」
「あんな笑顔のあんずレアじゃないか」
兄もちゃっかり来てました←