第37章 シスコンも大概に 春川宙
「あんず、帰ろっか」
とにこやかに強制連行され我が家に連れ戻されました。
ま、私の部屋が恋しかったし良いんだけどさっ!!
部屋の鍵を閉められ完全に逃げ出す術を失った私は宙くんへと電話した。
少しでも外との繋がりが欲しかった。
『そう言えば、どうしてお兄さんと仲悪いのです?』
そのときに、宙くんが何気なく聞いてきた。
「………………………。」
『…………あんず?』
宙くんは何も思ってない。ただ無邪気な質問だったのに。
それでも私は聞き流せなかった。
変に鼓動が加速した。あ、やばいなこれとか思う間もなく、まずスマホを落とした。
スマホから宙くんの声が聞こえる。
その次の瞬間に私の意識はなかった。
『兄様』
『何だい』
『_____どうして、
そんなに優しいの?』
「あんずッ!!!!!」
「は、はい!!」
ガバッと起き上がると誰かと頭をぶつけた。
何だよ誰だよとか思ってたらものすごく痛がってる皇帝陛下と、そんな彼をそっちのけで私にギュウギュウ抱きついてくる宙くんへがいた。
「心配しましたっ!急に電話から声が聞こえなくなって………ッ」
「あぁぁ、そういえばそうだった。動揺してしまったよ、不覚………」
「…その様子ならば大丈夫そうだね。念のため先生を呼んでくるよ。」
皇帝陛下は赤くした額を抑えながらヨロヨロと歩いて行った。
………そんなに強くぶつかったかな。
「皇帝陛下、病院嫌いなくせに……」
「宙が電話したな~!お兄さん、真っ先にあんずのとこに行って救急車呼んでくれました!」
……………まあ、あいつならやりかねないかな。
感謝したら良いのか何なのか。