第36章 恋愛は積極的に 高峯翠
「それで、何が分からないんですか?」
彼のホームとも言える噴水に来て、話を促す。深海さんは相変わらず悲しげな顔だ。
「…………あんずさんは、ちあきのことすきなのでしょう?」
「…………………………」
突然の問いに面食らった。
「………そうなんですね」
「違ッ……」
「みどりがかわいそうです。ちあきも。そんなあんずさんはぼく、きらいです。でも、あんずさんをきらいになりたくはありません。
ぼく、どうしていいかわかりません。
せめて、しょうじきにぜんぶおはなししてください。」
深海さんには全て筒抜けだったらしい。
……やっぱり、怖い人。侮れない。
「本当に、好きでした。」
だから話そう。正直に。全部。
「私の憧れだったから。………色んな事から逃げて逃げて逃げて……何にも出来ない私の太陽だった。
でも、いざ付き合ったら上手くいかなくて。だから別れました。太陽を私1人に留めるには荷が重かったようで。」
いつもあっちこっち行っちゃって。格好つけて格好つけて。
……私に頼ってくれなかった。だから寂しかった。
そのうち冷めて、別れた。
「……ちあきのことは、もうすきじゃないんですか?」
「…………好きです。でもそれはきっと…」
恋じゃない
そう言うと、深海さんは次の質問をした。
翠くんは、どうかと。
「好きですよ、こっちは恋です!」
すると、納得したようで。深海さんは笑った。
「全く、何を話しているかと思えば。」
「あ、ちあき~」
千秋くんがいつから聞いていたのか、やれやれと登場。
「別に、なあ?もう終わったことじゃないか」
「ええ、全くその通りだわ!!」
私達は笑い合った。
それは恋人というより、親しい友人のものだった。