第36章 恋愛は積極的に 高峯翠
レッスン終わって、翠くんと帰っているのだが………
「どうして隊長と付き合うことになったんですかどれくらい付き合ってたんですかいつ付き合い始めたんですかいつ別れたんですか別れた原因何ですかどうしてあんな人好きになったんですかそれから……」
「ま、待って待って、一瞬……いや、永遠に落ち着こう?何か怖いよ!?」
さっきから千秋くんに関する話題しか振ってこない。それに質問しといて答えさせる気あんのかってぐらい間髪入れずにベラベラ一方的に喋ってるし……
「………じゃあ、どこまでいったんですか」
いきなり何て質問ぶち込むんだ……
「手を繋ぐことさえしなかったよ……」
そう言うと、翠くんは少し驚いたらしい。
目を見開いていた
「あの人のことだから、グイグイいくのかと」
「別に付き合ってるときはそんなことなかったよ。むしろ、別れてからかな。抱っこはするし、ハグはするし………付き合ってたときの謙虚な千秋くんが嘘みたい。」
「………やっぱり、引きずってるんですね」
翠くんの目がジトッと私を捕らえる。それに関しては全力で否定する。
というか、このことは千秋くんも私も全部なかったことにしたいのだ。
「…千秋くんが不器用で器用で器用で不器用なの知ってるでしょ。遠慮しすぎてギクシャクして大変だったんだから。」
「………器用で不器用らへんがよく分からないんですけど。」
「分からなくて良いんじゃない?…まぁ………千秋くんって、格好いいとこだけ見せようとするから。器用な自分をアピールしたいんだけど、不器用さがでちゃう的な。」
そう言うと、翠くんは更にジトッとした目を向けてきた。あぁ、機嫌が悪くなっていく……!
「翠くん、千秋くんと私はもう何ともなくて……ほら、千秋くんなんて元カレに向かって彼女欲しいとかお前は彼女じゃないとか言っちゃうんだよ。
しかも、現在の私の彼氏の翠くんと同じユニットだし、翠くんのこと大好きじゃない?何とも思ってないんだって。」
「…………俺が言ってるのは、そっちの方じゃないんですけど。あの人はどうでも良い。俺は………」
そこで彼は口を閉ざした。翠くんとは、それから何も話さずに家へと帰った。