第35章 神様に懐かれているのです!! 姫宮桃李
「えぇいなのですッ!!」
あんずが懐から何か紙切れを取り出して霊に投げつけた。
すると途端にポルターガイストは止まった。
「な、何したの!?」
「あれはお札なのです……陰陽師の家系とか、都市伝説だと思っていたのですが……どうやら由緒正しい家系だったようなのです。お家の物置で見つけたのです。
今のうちに逃げるのです!」
二人が生徒会室のドアを開けたその時。
謎の力にあんずは引き戻された。
「キャアァッ!!!」
どうやら霊の仕業らしい。にんまりと笑っている。
(……やっぱり、陰陽道を極めてもいない私には御札の効果を少ししか引き出せなかったようなのです…!!)
冷静な分析をしている場合ではない、と我に戻った頃には窓に叩きつけられていた。
パリィィィィン………!!
その衝撃に、窓が割れてあんずは外へと放り出された。
「あんずッ!!!!」
このままじゃ地面に落ちて怪我……最悪は死んでしまう。
無我夢中の桃李がとった行動は、部屋に戻り窓の外へと飛び出し。
あんずを抱きしめて庇うことだけだった。
「神様、あんずを助けてぇぇぇぇぇぇぇぇッッ!!!!」
落ちるさなか、桃李は叫んだ。
すると浮遊感が消え、たくましい腕に抱えられた。
『……………世話が焼けますね』
桃李の頭に直接声が届いた。
まばゆい光に包まれ、金色の着物に身をつつんだ……少し雰囲気は違うが、間違いなく神だった。
『ありったけの力をかき集めるのに時間がかかりまして。でもまぁ、どこかの誰かさんの信仰により何とかなりそうですよ。
…………あなたの願い、叶えましょう。』
サァッと空へ光が舞う。
「………綺麗なのです」
「……そう、だね」
二人はフフッと笑い合った。
やがて光は生徒会室へと入る。その瞬間、霊の断末魔が響く。止んだかと思えば、浄化された霊が空へと登っていった。