第35章 神様に懐かれているのです!! 姫宮桃李
「あんず~。」
ゴロゴロニャーンとか聞こえてきそうなぐらい。猫のようだ。
「姫くんくすぐったいのです。膝枕中にゴロゴロしないでほしいのです。」
「はーい」
「………あの、すみません。」
放課後。生徒会のお仕事を手伝うということで生徒会室に来たのですが……
なぜか仕事をしているのが私だけ。
「ごめんなさいなのです神様!帰ったら神棚におはぎお供えするので許して欲しいのですッ!!」
「ぐっ………今日限りですからね!ていうか良いんですか?あなた達は私が見えてるから良いものの、普通の人間が見たら何か判子がひとりでに宙に浮いて書類に判押してる状況ですよこれ!?」
「お、おはぎ…三個……全部きな粉なのです……!」
「よろしいでしょう!!!」
あぁ、我ながら何てチョロいんだろう……。
とりあえず、おはぎのために頑張りましょう……
「あんず、あんず!」
「何です?」
「何でもな~い」
「何でもないのです~?姫くんったらお茶目なのです~!」
なんて会話が聞こえてきても何とも思わないから。大丈夫ですから。
と、自分を奮い立たせていると
「坊ちゃま~?」
扉が開いた。可愛い彼氏の執事さんです。
まあ………当然、彼は固まっていました。
だって判子が宙に浮いてるんだものっ!!!
「わ、わ~!判子が、判子が~!なのです!」
「棒読みですよ!?もっと心込めてください!?そしてその語尾無理やり付け足さないで!?」
は、ツッコんでしまった。声は聞こえていないとはいえ……非常に不味い
「こ、これは……怪奇現象でございますか?近々お祓いでもした方がいいのでしょうか……?」
「……聞こえてないだろうけどすみません。私、祓われる側ではなく祓う側です。私がいる空間が一番安全ですなんかすみません………とりあえずこれ置いときますね」
コトン、と判子を机に置く。
怪奇現象がおさまったことに安堵したのか、執事さんは深いため息をついた。