第34章 侍系女子と女子力高い男子 鳴上嵐
「姉上」
不審者を探していると、少し前を歩く颯馬がクルッといきなり振り向いた。
「…………何か、やばいのである」
ほら!見てみて!!的な感じで指さす方向を見ると……
「………何だあれは」
そこにいたのは摩訶不思議な集団だった。
『侍あんずlove!』と書かれた鉢巻きを巻いて私と同じ木刀を持った集団が、校内を闊歩していた。
「ん?何か、どこかで…………。あぁ、何か剣道の大会に出たときにいたな。観客席で変に目立っていたから覚えている。」
「も、もしや姉上を狙って……」
ここで颯馬がオロオロとしていた。いや、これはどうしろと。
「…?私はてっきり、別のあんずという子を応援しているものだと。………私が狙いか?何のために?」
「姉上はもっと自分に興味を持つべきである……。剣道の世界では、姉上のぐっずが売られたりしているのを………まさか、知らないのか?」
「私のグッズ?」
「姉上の人気は異常である。巷で姉上を見れば女侍だ!騒いでいるのでな。我もあんな輩を何回か見たことがある。まさか、学院にまで来るとは。」
何だかよく分からんが、私の………ファンか?
アイドルでもないのに?
「颯馬、つまりは私が原因か?」
「………まさか」
「うむ。では話をつけてこよう。」
「あ、姉上ッ!!!」
颯馬が何やら言っていたが、まぁいい。とりあえず摩訶不思議な集団の戦闘に躍り出た。
「貴殿らに告ぐ!今すぐここから出られよ!迷惑だ!」
「お、女侍だッ!!」
「本物だーーっ!!」
いきなり、集団が歓喜の声を上げた。
………思ったより面倒くさい。