第34章 侍系女子と女子力高い男子 鳴上嵐
「お早う、あんずちゃん」
「お早う鳴上……朝に会うのは初めてだな」
最近、彼に会うのがほんの楽しみになっていたので思わず口角が上がる。それを見て鳴上が目を見開く。
「あら、笑ってるところ…初めて見たかもしれないわ。」
「まぁ、あまりニコニコしないしな。鳴上は表情豊かで羨ましい。
そうだ、それより……」
カバンからお弁当箱を出す。昨日、約束していたものだ。
「あら!本当に作ってきてくれたのね、嬉しいわあ!」
「かなり張り切って作った。颯馬が鉢巻きを巻いて扇を振って応援してきたので余計な。」
「……神崎家っていったい…」
「?家に来てみるか?母上と父上も、君を連れて行くと喜ぶだろう。」
「え?良いの?」
「あぁ、いつでも良い。都合の良いときに、フラリと立ち寄ってくれ。」
鳴上は手を遭わせて喜んでいる。
………まぁ、こういうのも悪くない。
「姉上ッ、大変である!!」
と、放課後一番に颯馬が怒鳴り散らすので一気に注目の的となった。
やめてくれ、頼むから。
「学院内に不審者がッ!!ご無事かッ!?」
「無事だ。君の目の前にいるのは誰なのだ。それに不審者がいるならそう動き回るな。」
「と、とりあえず大変なのであるッ!生徒は教室で待機と……我は言伝を頼まれたのだ!たとえ何かあったとしても、不審者など刀のさびにしてくれよう!」
と自信満々に言う颯馬。デカイ声なので、教室内に情報は行き渡った。ザワザワと騒がしくなる。
「分かった、私も行こう。君は暴走するところがあるから。」
「助かる!」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。」
木刀を掴んだ私の手を三毛縞がギュッと握る。
「あんずさんは女の子なのだから、ここにいた方が良いと思うんだがなあ…」
「いらぬ世話だ。手を離せ。私は女扱いがなによりも嫌いだ。」
三毛縞は何か言いたげな顔をしたが黙り込んだ。
……少し言い過ぎたか?
まぁいい。とりあえず………
不審者をぶっ叩こう。