第34章 侍系女子と女子力高い男子 鳴上嵐
「あんずさん、送って行こう!」
「一人で帰れるッ!!!」
今日は私が部室の鍵閉め係だったので、一番遅く校門を出た。そこに待ち受けていたのはなぜか肩でゼエハア息をしている三毛縞。
「それに何だ君の格好は!ボタンを一つ……二つも掛け違えているぞッ!!シャツもヨレヨレだし!」
「いやぁ、部室から一人で帰るあんずさんがみえてなあ!慌てて来たからだな!」
「そんなんで来られても迷惑だ!ホラ、ボタンくらいきちんと閉めろ!!」
全く、慌てていたとはいえなぜボタンをつけちがえるのだ。あり得ん。
「アーーッ!!」
突然聞こえた叫び声。今度は何だと振り返ると、鳴上がいた。
「ちょっとお!何アタシを差し置いてあんずちゃんを独り占めしてるのよお!」
「別にそんなんじゃないぞお?送っていこうと思ってだな!女の子一人は危ないから!」
「………全力でお断りする。二人ともさらばだ。また明日。」
手を振ってそのまま歩く。全く、何なんだいったい。
三毛縞は苦手だ。
何かと私を女扱いしてくる。
…別に構わんが、あまりされたことがないのでむずがゆい。
というか、これしきのことで心を乱れさせては駄目だ。
(……帰ったら素振り1000回だな。颯馬も誘おう。)
弟も巻き込むのは申し訳ないだろうか。しかし、あの颯馬なら喜んで付き合うだろう。