第34章 侍系女子と女子力高い男子 鳴上嵐
苦手な奴が、教室に戻ればそこにいる。
しかも隣の席に
なぜ同じクラスなのだ。
こんなことをしたのは誰なのだ、出て来い叩き斬ってやる。
「お帰りあんずさん!今日も可愛いなあ!」
「ふん、思ってもないことは言うものではない。授業が始まるぞ、大人しくしていたまえ。」
三毛縞はニッコリ笑う。
あぁ、やはり苦手だ。
「ふふふ、今日も愉快だね。」
「見てないで何とかしろ、天祥院…」
反対側の彼に助けを求めるが、やんわりと微笑むだけで何もしない。
「そう言えば、この間告白されていなかった?やはり君はもてるようだね。」
「なぜ知っているのだ……。」
「何ッ!?告白!?」
「そしてなぜ食いつくのだ三毛縞……」
「ま、まさかOKしてしまったのではないな!?俺への返事もまだなのにっ!!」
「いやしたではないか……!ない。君はそういう対象ではない。」
「何度でも言う!俺はあんずさんが好きなんだ!」
「何度でも言うな。告白の価値が下がる。そしてうるさい。」
こんな会話も、クラスメイトからしたら聞き慣れたことで、誰も何も言わない。またか、と苦笑するのがお決まりだ。
「アーッ!!あんずさん、何で可愛くラッピングされたお菓子を持っている!?ま、まさか…ッ!」
鳴上から渡されたクッキーをバッととられた。
それにはさすがに腹が立った。
それは楽しみにとっておいたやつだッ!!!
「いい加減にしろっ!!斬るぞ貴様ッ!」
床に寝かせていた護身用の木刀をとり、そのまま三毛縞にふろうとしたそのとき………
「やめろ、二人とも!三毛縞さんも、あんずに返してやれ!」
「守沢/千秋さん!!」
間に入ってくるものだから、急いで木刀を止めた。
守沢は三毛縞から菓子を取り返し、ソッと手渡してくれた。
「…………すまない。」
「いや、気にするな!」
そう言って、彼は席についた。
三毛縞をジトッと睨むと、ヘラヘラ笑っていた。
それを見た天祥院がクスクス笑うのも気に入らなかったが、チャイムが鳴ったため大人しくしておいた。