第34章 侍系女子と女子力高い男子 鳴上嵐
「ハイ、どーぞ!」
昼休み、あれからともに昼食を食べるようになった。その度に色々作って持ってきてくれる。
「いつもすまない。あと………思ったのだが、材料費などは負担しなくても良いのだろうか?」
「いいのよ!私が好きでやってるんだから!」
鳴上はウフッと笑う。
「しかし、もらいっぱなしは申し訳ない。菓子は作れんが…そうだな、君の弁当を作ってこよう。それでいいか?」
「まぁ!手作り弁当!?」
「味は保障する。」
キャー!と喜ぶ鳴上。ここまで期待されたのなら頑張らねば。
そう話していると、携帯が鳴った。
「………む、深海からメールか。」
「あぁ、そういえば部活が同じだったわね。」
「羽風にしつこく勧誘されてな」
「納得だわ………」
メールには、今日の部活内容が書かれていた。
「あんずちゃんって、お魚好きなの?」
「別に。しかし、毎日世話をしていると愛着がわく。今は颯馬と亀の世話に熱を入れている。」
「へ~!」
鳴上はこんな話を聞いて楽しいのだろうか。
何か面白い話をしたいのだが
「………君は、何部なんだ?」
ありきたりな会話しか出来ない。
「アタシは陸上部よ。」
それを聞いて、とある奴の顔が思い浮かんだ。
「………陸上部」
「あら?どうかしたの?」
「いや…………気分を悪くしないで欲しいんだが」
とりあえず、素直に話すことにした。
彼に嘘は意味をなさない。
「部長の三毛縞のことが、苦手なんだ。」
「苦手?どうして?」
「……………今までに出会ったことのないタイプでな。」
そんな詳しく話す必要もないだろう。
私はそれだけ言っておいた。