第33章 嫉妬大作戦 葵ゆうた
「あっはは!あんずさんが泣くのは予想外だった!」
「俺か?俺が悪いのか?」
「強師くんの不登校になった理由なんて妹の嬢ちゃんからしたらショックに決まってるじゃろう……。」
「はぁぁ………何でまた女装……そして何でひなたの彼女役………」
「amazing!!私のメイク技術も中々でしょう!?」
あんずとゆうたはポカンとしていた。目の前で楽しそうに(友也と強師を除く)キャッキャしている連中を見て、唖然としている。
何となく状況が見えてきたので、二人は整理していく。
「……友子ちゃんが、日々樹先輩が変装させた友也くんってこと……?」
「た、多分……」
「これドッキリかな……」
「………多分」
「なんでこんなことしたのかな……」
「わかりません……」
コソコソ話す二人の会話は、強師に聞こえていた。強師は青筋を浮かべて怒鳴り散らす。
「ふざっけんな!元はと言えばてめえらがくだらないことで悩むからッ!!!」
「へ?」
「だ~か~ら~」
ひなたが強師をなだめ、笑顔で話す。
「ゆうたくんとあんずさんに、嫉妬させようとしたってわけ!」
「「…………」」
あんず達は顔を見合わせた。さっぱりわからない、と。
「フン、俺を学院に引っ張り出してまで巻き込んだたのに忘れたなんて薄情な奴!!」
「ゆうたくんも、ユニット練習に集中できないほど悩んでたじゃん!!折角協力してあげたのに~!!」
そこであんずもひなたも思い出した。
あんずは強師に、ゆうたはひなたにどうしたら嫉妬してもらえるかと相談をしていたのだった
「それで、俺の彼女として友くんに友子ちゃんになってもらってね、ゆうたくんと距離を近くして接して欲しいって頼んだんだ~!」
「さすがに見知らぬ女と彼氏が一緒にいたら嫉妬するかもしれないってさ………はあ、疲れた」
遠い目をする友也に、ひなたが苦笑する。