第33章 嫉妬大作戦 葵ゆうた
「……じゃあ、強師さんも…?」
「そもそも、俺ら兄妹だし」
彼の言葉に、ゆうたが目を見開く。
そんな彼を強師は鼻で笑った。
「気付かない方が悪いっつの。こーんなに似てんのによ!!」
そう言われ、あんずと強師を交互に見だす。しかし全く似てるように思えない。
「ほら!」
あんずが眉間にしわを寄せてしかめっ面を作る。
「……………そっくりじゃ」
零がぽつりと呟く。その場の全員が納得した。
「………悪かったな無愛想で…ていうか、零は何しに来たんだよ!?今頃おねんねタイムだろ!?」
「こんな面白そうな催し物があるのにおねんねなんぞ勿体ないじゃろう!」
「催し物……ハイハイ、そうだな!お前はそんな奴だったッ!!」
仲むつまじく話す二人を、あんずがニコニコ見守る。不登校になった理由はショックだったが、まだ兄には友達がいるという事実が何より嬉しかった。
「それでは、邪魔者は退散しましょうかっ!!」
「さんせ~い!!お二人さん!ごゆっくりッ!ゆうたくん、まだ手は出しちゃ駄目だからね!」
ひなたにそう言われ、ゆうたは赤面する。あんずは去っていく一行の背中を見届け、ゆうたに向き直る。
「……何かごめんね」
あんずは気まずい雰囲気を壊そうと、おどけて見せた。
「あはは、私の嫉妬大作戦は成功………で………良いのかな!?」
「…………ッもう!!」
直後、あんずはゆうたの腕の中にいた。突然のことに、言葉が出ない。
「大成功ですよ!あんなのもうごめんですからね…!」
「そっか~!ゆうたくんも大成功だったよ。私ももう嫌かな。」
あんずもギュッと抱き返した。
しばらく二人はそうしていた。遊園地の中だし、まわりはカップルだらけ。特に問題はないだろう。
「大好きですよ、あんずさん!」
「私も大好きッ!!」
「うおぉ~!二人とも大胆ッ!!」
「これはお持ち帰りコースかのう……」
「ざけんな許すか」
「おやおや、今度は強師が嫉妬ですか…!?」
「写メるか」
「友くんナイス~!!!」
以上、実はまだ帰ってなかった人達