第33章 嫉妬大作戦 葵ゆうた
「…………」
お化け屋敷の中で、ゆうたは立ち止まった。
(…………あんずさん、大丈夫かな)
ゆうた以上に怖がりな彼女。彼は少し心配だった。
「ゆうたくん?」
「……ごめん友子ちゃん、俺…………」
「そっか!行ってらっしゃい!!」
アッサリOKが出たので、ゆうたは来た道を引き返した。
あんず達は自分達の次に入ってきたのだから、絶対後ろにいるはずだ。
去っていくゆうたの背中を見て、友子は電話をかけた。
ここまでは、予定通りだった。
「………」
ゆうたは言葉がでなかった。
普段全く泣かないあんずがボロボロ泣いていた。そして、彼女の目の前にいる強師はオロオロしている。
それを見た瞬間沸騰した。
(あんずさんを泣かせるなんて許せないッ!!!)
「強師さん!」
「うあぁ、来たぁッ!!おい泣き止めって!こんなんなるなんて聞いてねえよ!!」
なおいっそうオロオロしだす強師のポケットに入ったケータイが鳴り響く。
電話に出て、しばらく誰かと話した後に強師はポツリと呟いた。
「………………とりあえず、全部話すわ」
何のことかわからず、ゆうたは首を傾げた。あんずが泣いたままなので、ソッとハンカチを渡した。