第33章 嫉妬大作戦 葵ゆうた
「あんずさん私服可愛い!!」
「あ、ありがとうひなたくん」
遊園地で、周りの雰囲気とは違いあんずのテンションはどんどん下がっていた。
猛烈に帰りたい
あんずは簡単にOKしたのを後悔した。
彼女はゆうたとの気まずい雰囲気忘れていたのだ
チラリと隣に立つ彼を見ると、顔を逸らされた。
(…………ゆうたくんってきょーちゃん嫌いなのかな…そういえば、きょーちゃん………どっかに出かけてたなぁ。ちょっと前までニートだったのに。)
「よーし!じゃあ早速行こう!」
「ちょ、アニキ!」
それでもまぁ遊園地はとても楽しく…………なかった。
「友子ちゃん、ケチャップついてるよ」
「ありがとう~」
(目の前でリア充リア充するのやめて欲しいな……ゆうたくん、は………やっぱ駄目か)
ゆうたとあんずは相変わらず気まずい。
目の前でホットドッグを頬張る3人を見て、あんずは途方に暮れた。
「あんずさん、食べないの?」
「食欲なくて。ちょっと、飲み物買ってくるね。」
あれ以上見てられなかった。
あんずは自販機で炭酸飲料を購入して、一気に飲み干した。
「……………帰りたい」
「何で」
「ッ!?」
聞き慣れた声に、思わず振り返った。そこにいたのは………
「きょーちゃん何で!?」
「………友達にドタキャンされたから腹いせに一人で来てやった」
「……友達いたんだ」
「あぁ!?」
いかんいかん、本音が。あんずは慌てて話を逸らした。
「あんず、デートなんだろ?何で一人なんだよ?」
「……………泣いていい?」
「は?話聞いてんのか耳腐ってんだろカス」
ですよね、とあんずはため息をつく。
「じゃあせめて私と一緒に来て」
強師は当然断ったが、妹の頼みを無下にも出来ず結局あんずに同行した。