第33章 嫉妬大作戦 葵ゆうた
「こんにちは、あんずさん!……と………えーと……」
「きょーちゃ「強師!!」…………ごめん」
何でこんな呼び方を広めていこうとするんだコイツは…
「強師さん……は、3年生なんですね!」
青いヘッドホンの方が話しかけてくる。ほほぉ、コイツが……
「あんずの彼氏か。」
「え……あ、はい」
どこか照れくさそうに肯定するソイツを見て、少し不思議に思った。
「お前、こういうのがタイプだっけ?『結婚するならきょーちゃんみたいなヤンキー系がいいな!』とか言ってなかったか?」
「まぁその理想のヤンキー系きょーちゃんはまさかのニートになってしまったわけだけど!」
「悪かったな!!」
小突き合う俺達を見て、ピンクのヘッドホンの方が目を見開く。
「仲良いですね~付き合い長いんですか?」
「長いに決まってんだろ当たり前のこと聞くなひねり潰して放り投げるぞ!」
苛立っていたこともありやるつもりもないことを口走る。……こんなんだからヤンキー系とか言われるんだよな…
全っ然そんなんじゃないのに
「……アニキ、俺…先生に呼ばれてるから行くね」
「あれ?そうだったの?わかったよ、いってらっしゃい!」
あんずの彼氏はチラリと俺を見て去った。……何か敵意丸出しの視線だったような
「あー!ゆうたくん行っちゃった~!」
「呼び出しならしゃーねーだろ。」
「うるさい!!」
「いった!!脛を蹴るなよドメスティックバイオレンスだぞこれ!!」
「………ドメスティック?」
ピンクのヘッドホン………まぁ後でわかったがひなたというらしい。ひなたはポカンとしていた。
「えと……もしかして…………兄妹?」
「当たり前のこと聞くなひねり潰して放り投げるぞ!」
「わーお…!……絶対これゆうたくん誤解してるよ…」
何やらボソッと呟くひなた。どうしたのかと顔を覗けばニヤリと笑っていた。
「強師さん、ちょっと来て!!」
そう言われて腕を引かれる。さすがに後輩に乱暴はできないのであんずを残し、その場を去った。