第33章 嫉妬大作戦 葵ゆうた
「き、強師………」
「強師、くん……」
教室に行くと幽霊でも見たような目で零と渉に出迎えられた。
まぁあんなことがあったし、当然そうなるか。
「…………」
あぁもう面倒くさい。だから来たくなかったんだ。
「……何」
固まって動かない二人を睨む。
「……何でもありません」
渉がそう言うので、それ以上は何も言わなかった。
バカあんずめ。こんなのも今回キリだ。
「てめーいい加減にしろよ!?ただでさえグラスで浮いてんのに!!」
「ごごごごめん!そんなことになってるなんて思わなくていつものノリで……!」
昼休み。作戦会議だと俺を呼びにきたあんず……教室に入って開口一番に
『あんずが来たよ~!きょーちゃんに溺愛されてどうしようもないから最近の悩みはきょーちゃんに愛されすぎて困ってます!のあんずが来たよ~!』
とかぬかすもんだから教室が凍った。
マジやめて欲しい。もうあの教室に戻りたくない…。
「ほ、ほらあそこ見て!私の彼氏がいる!」
「………」
無理やり話を逸らすあんずが指さす方向には………
全く同じ姿形の二人がいた。
「……双子か。どっちだ?」
「弟の……水色のヘッドホンの!」
「全く一緒じゃねーか。もうどっちでも良いんじゃ……」
そう言う俺に、あんずはむきになって反抗する。
「違うもん!全然違うもん!!アニメで魔法で戦う魔法少女ときょーちゃんぐらい違うもん!!」
「よくわからん!!だいたい全人類は前者と全くべつもんだからな!?」
「あ、こっち気づいた!おーーーいっ!!」
あんずは意気揚々と手を振り叫ぶ。双子はそれに負けじと元気に手を振った。