第32章 大変なことになりました 伏見弓弦
「痛いッ痛いよぉ~!これやばいヤツ!カルボナーラ目覚めるヤツ!!」
「カルボナーラ!?何それおいしそ~!取りあえずダ~イブッ!!」
なぜかカルボナーラに反応した明星くんがツッコんできた。
もろ私の上に乗るもんだから、痛い。
「ちょ、カルボナーラどころか今日の晩ご飯も目覚めるよこれ……!う、うぷっ」
「スバル!!あんずから退けっ!!」
「え~!やだ!!」
「ガキか!?」
とかなんとかしてるうちに枕投げがヒートアップ。
いつの間にか全員参加。もちろん真冬さんも。
それを見てフフ、と笑っていると枕が再び顔面に。犯人は弓弦くんだった。
「よそ見厳禁にございます」
「そんなに私の中のカルボナーラと晩ご飯を目覚めさせたいようだね……!良いよ、受けて立つ!ドッチボールはボールを最後まで触らないのに最後の一人になる私をなめないでね!?」
「それ自慢でも何でもなくない!?」
遊木くんの鋭いツッコミをサラリと聞き流し、私は枕を思いっ切り弓弦くんに投げた。
「枕投げ楽しい!やっぱサイコーーッ!!!」
思いっ切りはしゃいで、何時間もやって。
先生に怒られて。
それでも楽しくて楽しくて。
最高の思い出になった。
そして最悪の黒歴史になりつつある。
コックン、コックン
私が船をこいでいるのを見て、周りがサッと避けていく。
「伏見、出番ね」
真冬さんがニヤニヤしながら彼の背中を押す。
「あんずさん」
「………眠いよ」
はい、部屋まで戻りましょう?
そう言う彼の声が遠ざかっていく。
ウツラウツラ………夢見心地で彼にしがみついた。
「………弓弦ちゃん、朝まで戻ってこなかったりして」
「まっさかあ……」
「それはない、で…あろう………」
残されたメンバーは少々気まずい雰囲気になったが、伏見弓弦という男の理性を信頼し、起きて待っておくことにした。