第32章 大変なことになりました 伏見弓弦
「八ツ橋にチョコレート味がある~!あ、やっぱりニッキも買おうっと!わぁ~!このヘアピンキラキラ!金平糖の形~!あと弟にこれで、ご近所さんにこれで~!!」
お土産屋さんで、私はめっちゃ買い込んだ。だって京都ってすごく和風な物が多くて目を取られちゃうんだもん。
「…そんなに買って、荷物は持って帰れるの?」
遠くではしゃぐ私を見つめていた遊木くんが恐る恐る尋ねてきた。
「平気平気!スーツケース開けてあるし……!わ~!舞妓さんが使う化粧道具だって!!」
見て見て!とはしゃぐ私に苦笑しながらも、彼はこれとか良いんじゃない?と色々アドバイスをくれた。
「さすがはもとモデルさん!詳しいね~。」
「そ、それは僕の地雷で……」
「お二人さ~ん」
私達の会話に割って入ってきたのは真冬さん。少し離れたところでカメラを構えている。
「はい、チーズ」
反射的に私達はピースしてしまった。シャッター音がしたあと、ハッと我に返った。
「もう!勝手に撮らないでください!遊木くんは元モデルですよ!ネットオークションで売ったりしちゃ駄目ですからね!」
「儂がそんなことするわけなかばい!後で写真にしてあげようって思たったいッ!!」
プンプン怒る真冬さんだが………
この人、怒ると可愛い。九州の方言マジ可愛い。
「おーい!買い物終わった~?次の所行こうよ!あっちに抹茶屋さんがあるよ!」
「わ~い!抹茶のパフェ~ッ!!」
店の外から叫ぶ明星くんの所へ駆け寄る。ちょうど隣に立ったところで、真冬さんが再びカメラを構えた。
「あ、撮ってくれるんだ!よーし!あんず、ダブルピース!!」
「了解!」
二人でポーズを揃えて撮ってもらった。彼はとても満足げに笑う。
「さぁ、次に行くばい!!」
その後抹茶屋さんでパフェやらなんやら食べて、その日は終わった。
いやぁ、京都楽しい!!