第4章 全力放置 朔間凛月
あの後、凛月くんは逃げたことにも避けてたことにもすっごく怒ってしまって話し掛けても何をしても返事がなかった。
しかし今それより重大な事件が起こっている。
「………茜」
「ううぅ……!な、何…?」
「どいてくれ」
こんな少女漫画的なことあって良いのだろうか。
階段を急いで降りてたらこれまた急いで駆け上がってくる真緒くんと激突……したのだ。
絶対痛いと思ってたら衝撃が何もなかった。それもそのはず、私の足は階段から離れて宙をういていたのだ。
尻餅をついていた真緒くんの上にダイブ……そして冒頭に至る。
「ていうか真緒くん、私の下敷きになったよね!?大丈夫?怪我は!?」
「心配すんなって。それよか早くどいてくんねぇかな…?色々とヤバい気がする。」
確かに。この体制はヤバい気がする。
私は立ち上がろうと足と手に力を入れた。
「うにゃっ!!」
しかしバランスを崩して再び倒れ込む。
「おいっ!?どうした!?」
「い、痛いぃ…!!手と足がすっごく痛い!!」
多分着地したときにぐねったのだろう。
結果として更に密着して動けなくなった。
「う、動けない…!動けなくなっちゃったよ~っ!!!」
ジワァッと目が熱くなってボロボロと涙が溢れてきた。
「泣くなって…大丈夫だから、な?」
「ううぅ~……!」
「どっちぐねった?」
「右……」
真顔くんは私の腕を自分の肩にまわしてくれた。しかし、立ち上がるときも痛い。もう声も出さずボロボロ泣いた。
「保健室まで歩けるか?」
「…頑張る」
ほとんど真緒くんに体重を預けている状態だが大丈夫なのだろうか。
「大丈夫だよ」
それを悟ったかのように真緒くんはニッコリ笑った。