第30章 贖罪 紫之創
「美味しいんだぜ~!」
光くんは食べてるときも元気。確かに美味しい。
「そうだね」
私がそう言うと、3人はパアッと表情が明るくなった。
「良かったです!ここずっと忙しそうにしてたから、良い息抜きになればって思ってたんです。」
「…………ありがとう」
紫之くんはニッコリ笑う。私も笑い返せたら良いのだけれど………感情の表現はすこぶる苦手。
「あんず、嬉しそうですね!」
「え、分かるのか創。俺…お前達と同じ中学だったけど、未だに分かんないぞ…」
しかし創くんは分かってくれる。それはとても感謝せねば。
「いいの、紫之くんがわかってくれるから。」
「俺も分かるんだぜ~!あんずちゃんは創ちゃんが大好きなんだぜ!」
「天満くん、それは恥ずかしいからやめて」
ワイキャイしてたらあっという間に時間は過ぎて、すぐ帰る時間になった。
アイス美味しかった。また来たい。
「うわっ!何その顔!」
翌朝、教室に入った私に対するクラスメートのひなた(葵くんと呼んだら弟と混ざってややこしいし、くん付けもいらないと言われた)開口一番の言葉がそれだった。
「失礼な」
「いや、明らか寝不足です!って顔だからね!」
「………確かに、寝不足だけど」
「それが何か?って顔されても…」
いつもは私が一番に来るのに、今日はひなたが一番。聞けば、早く目が覚めたとか。
「眠たいのに、眠れないの。不思議。」
「それは本当に不思議………。もしかして、またあのこと気にしてる?」
あのこととは、もちろん私の右足に関すること。ひなたはとても優しいし、お話を聞くのも上手だからついつい話してしまったのだ。
「……これから先、あのことを気にしないことなんてないと思う」
「でも、それってすっごく辛くない?ほら…創くんとだって……もっと素直に甘えたら良いと思うよ。」
ひなたは肩をすくめてそう言った。