第28章 演劇部には近づかない方が良いかもしれない 真白友也
「そうだ、折角だから写真をとったらどうかしら!」
「それは良い考えですねぇ!」
日々樹さんとスタイリストさんで盛り上がっているが勘弁してほしい。こちとら光の粒子となって消え去りたいのに。
「真白くん、氷鷹くん…あの人達を止めて、お願いだから、お願いだから……!!」
「大丈夫だ、本当に綺麗だぞ」
氷鷹くんはそれしか言わない。真白くんは真っ赤な顔で褒めちぎってくれる。
「すごい、すごいです!!やっぱり女の人が着るのと俺が着るのじゃ違います!!」
「そ、そんな…真白くんの方が可愛いよ………」
「そんなことないです!!」
それは譲れません!と言わんばかりに腕をぶんぶん振って彼は主張する。
「北斗くん、友也くん!どちらかこれを着て写真に写ってください!」
そんな私達の間に急に割って入った日々樹さんの手には、白のタキシード。
「それでは結婚式だろう。いや、あんずは青いドレスを着ているから、違うか。」
「白いドレス、あるわよ!」
「では、あんずさんお着換えを!!」
日々樹さんに背中を押され、スタイリストさんに腕を引かれる。
ていうか、男の子しかいない演劇部に来てどうしてこの人はドレスなんて持ってるの……!?
「も、もう…………勘弁してぇ………!!!」
私の訴えは、どこ吹く風。強制的に着替えさせられた。
「やはり、白いウエディングドレスだと雰囲気が変わるな。」
氷鷹くんが感想を言って、部室の隅っこへ叫ぶ。
「友也!いつまでいじけてるつもりだ?」
「何で俺が着るんですか…!北斗先輩が着た方が良いのに~!!」
どうやらタキシードは彼が来たらしい。むきになって半泣きで抗議している。
「ジャンケンで負けたのはおまえだろう」
「う~、パーをだしておけば、パーをだしておけば……!!!」
そううなり、彼はフラフラと私の隣へ寄ってきた。