第27章 夢の話し 朔間兄弟 _女の子の日注意あり_
「バカ兄者!!!」
何かを殴るような鈍い音で、目が覚めた。
隣に零さんがいない。
お腹が痛い。
ベッドのカーテンがしまっているので開ける。
すると…零さんが口から流れた血を拭っていた。何が起きたのかよく分からなかったが………凛月くんがいることで、だいたい察した。
………兄弟喧嘩にしては、度を超している。
「俺の気持ち知ってるくせに!何でこんなこと!!」
「……………すまぬ、すまぬ凛月よ…」
二人とも私に気づいていないようだ。
「…………辛そうな嬢ちゃんを見ていると…放っておけなかったのじゃ…」
「黙って、本当に、本当に………!!あんたってヤツは……!!!」
凛月くんがギュッと拳を握る。見ていられなくて、私はベッドから飛び出した。
「……あんず!?」
目を見開いて、彼は握っていた拳を開いた。
「あ、あの、何があったのか、わからないけど、け、喧嘩はや、やめま、しょう……?」
喧嘩の仲裁になんてへっぴり腰だ。私は途切れ途切れでへにゃへにゃな声でそう言って二人の間に割り入った。
「……あんずには関係ないでしょ!」
「でも目の前で喧嘩されてほっとくわけにも……」
かといえ何が出来るというわけではないが。取りあえず話だけでも聞くことにした。
「さぁ、お話しください!」
「…………」
「…………」
二人とも、気まずそうに顔を逸らす。
「…あんずにこそ言えないんだけど」
「そ、そんなこと言わないで!!」
負けじと食らいつく。そこで零さんは、歯切れ悪く話しだした。
「……吾輩達、心を寄せる女の子がおってのう……それで、喧嘩、をじゃな……」
………………まさかの恋路相談。
これは力になれそうにない。
「………取りあえずその子に告白して潔く砕けてはどうですか?」
ベタベタなアイディアだ。恋に悩む人間に告白してこいだなんてどうかしてる。
それが出来ないから恋をする人は皆悩むのだから。
凛月くんと零さんは顔を見合わせた後、ゆっくりと頷き合った。
そしてキッと二人で私を睨んできた。