第27章 夢の話し 朔間兄弟 _女の子の日注意あり_
「おかえり~……げっ、兄者…」
そこにいたのは凛月くん一人。皆はいない。彼だけ待っててくれていたのだろうか。
「ご、ごめんね凛月くん……かき氷、買えなかったの……」
「……あんず?どうしたの!?何があったの!?」
そして彼は私を零さんから引き離した。突然のことに、私は頭がついていかない。
「……あんたのせいなの?」
「ッ!違うのじゃ凛月よ、吾輩は…」
「うるさい!!二度とあんずに近づくな!!」
凛月くんが零さんを突きとばそうとする。
私はたまらず二人の間に割って入った。
「やめて……!お願いやめて……!零さんは助けてくれたの!だから…そんなひどいこと言わないで!」
「良いのじゃ嬢ちゃん、ほら……まだこんなに震えておるのに…」
零さんが背中をさすってくれる。私は何だか自分が情けなくなった。
「……………ごめん、何か勘違いしたのかな…謝るから、全部教えてよ……」
凛月くんが苦しそうな顔をしている。
私の口からは言えなかったので、零さんが言ってくれた。
凛月くんはかき氷はまた今度でいいから、と慰めてくれた。
あぁ、今日はついてない。本当は楽しく泳いでるはずだったのに。
「じゃあね~、今日は無茶言ってごめんね!またおごるからさ!!」
夕方になり、皆帰って行く。
私は帰ろうとしたが、急にお腹が痛くなって………歩けなくなってしまった。
「嬢ちゃんや………一人で帰れるのか?」
零さんが心配してくれるが、返事も返せない。
「……送っていこうかの。とはいえ、吾輩が急に来たらびっくりするじゃろうし…嬢ちゃん、家に電話を…」
私は黙って首を振った。弟は今日友達の家にお泊まりだし、両親は夜勤でいない。
「……家に誰もいない、ということかのう?」
首を縦に振る。零さんは少し考えたあと
「吾輩の家に連れて行こう」
と、言いだした。