第27章 夢の話し 朔間兄弟 _女の子の日注意あり_
「申し訳ありません、お姉さま………私はその、何も知らずに………」
女子がプールに入れない原因はちゃんと理解しているらしい。司くんは察して謝ってくれた。
「おい、あんず本当に大丈夫なのか?」
「へ、平気。ビックリしちゃった…あはは」
大神くんは相変わらずだが。
「そういえば司くん、零さんと凛月くんは?」
「あの二人もwatersliderが楽しかったらしく、もう一回すべってこられるそうです……。では、私はKnightsのお兄様がたの元へ戻りますね。」
……やはり、ユニットで来てたのか
あんまり会いたくないなぁ…
「よーし!飯も食い終わったし…!アドニス、俺様と競争しよーぜ!!」
「良いだろう。羽風先輩も行こう」
「いーよ、俺はあんずちゃんと…」
「しゃ行くぜぇ!!!」
「ちょ、引っ張らないで~!?」
二年生二人が羽風先輩を引っ張っていく。何だか微笑ましい。
そんな三人と入れ替えに、零さんは戻ってきた。
「……元気じゃのう」
「お帰りなさい」
「うむ、なかなか面白かったのう…ウォータースライダー…」
もしかしてもう一回すべりたいのだろうか……。しかし、一人二回までの制限があったのでそれはできないのだろう。
「それにしても暑いのう、嬢ちゃんや…扇いでくれくれんか?」
「良いですよ~………キャッ!!」
零さんが当然のように私の膝に寝転がる。いや、よく膝枕はするけど………!
今は、駄目な気がする……!だって、そこまで近づいたらさすがに匂いが……
「……嬢ちゃん、もしや…」
あぁ、バレた……!!!
私は顔を覆った。恥ずかしくて真っ赤になる。
「…………恥ずかしがることでもなかろうて。」
零さんがゆっくりと体を起こした。
「謝るのは吾輩の方じゃ。プールに入っておらぬ時点で気づくべきじゃった。」
「………ごめんなさい」
零さんは大丈夫じゃ、と私の手をソッと握った。
「____こんなに近くにいても、思い届くこと叶わぬ__」
「………え?今何か言いました?」
「すまぬ、と言ったのじゃよ?」
零さんはどこか寂しげに笑った。