第4章 全力放置 朔間凛月
「…お姉さま!」
「わっ!」
目の前にはため息をつく司くん。そして私の手にはチェスの駒。
「お姉様のturnですよ。」
「ご、ごめん…」
レオ様と離れた後、暇だって言ってた司くんにチェスのやり方を教えてもらってたんだった。なのに寝ちゃってた…
「お姉さまは近頃ドリフェスやpro…プ…プロデュー…ス、で忙しいようですが……しっかり睡眠はとっているのですか?」
「…合間合間に………寝て…る……」
再び意識を失いそうになったが何とかこらえる。
「うー…消え去れ睡魔!」
「無理はなさらず…帰って眠った方がいいのでは?」
「ううん……ちょっ……と…用事が……」
私は危うくボードに頭を打ちそうになった。食堂は放課後にも関わらず人で賑わっていた。そんなガヤガヤした中でも私は眠って良いなら十秒以内に眠れるだろう。
「用事は後回しにできないのですか?」
「………………………」
「お姉さま?」
私は睡魔とは違うものを感じた。頭が痛い。グラグラする………
そして私の体からは全ての力が抜けていった
「お姉さま!お姉さま!?」
必死に叫ぶ司くんと、床にばらまかれたチェスの駒が見えた。そして私は意識を失った。
「この馬鹿者っ!!」
「……sorry」
思わず司くんの口調がうつってしまった。
珍しく怒っている陣先生は私の頭を軽く叩いた。
「お前はなっ…!体調管理もしっかりしろとあれほど…!」
「うへへ…熱があるとは思わなくて」
「はぁぁ……。まぁ女子のお前に男子と行動させてる時点で悪かったのかもな…。」
熱は38度近く。司くんは珍しく怒っている先生に驚いたようだったが、安心したように笑っていた。
「急に倒れられたのでpanicになりましたが、幸い、熱だけで良かったです。」
「ごめんね、司くん。またチェス教えてね?」
「はい!もちろんですお姉さま!」
「お姉さまぁ…?」
陣先生はコイツが?コイツがか!?という顔をしていた。しかし反抗する力も残っていなかったので私は大人しくしておいた。