第4章 全力放置 朔間凛月
私が凛月くんを避けることは学園中に知れ渡った。アイドル科の学年クラス問わず、挙げ句の果てには他の学科の人達までもが手助けしてくれた。
夢ノ咲学園の生徒が一致団結し、茜を凛月から遠ざける同盟のようなものができあがっていた。
「それでも毎日毎日追いかけてくる凛月くんっていったい…」
私は頭を悩ませたが答えが出るはずもなく、あれから一週間たつ今日の放課後も凛月くんから逃げ回っていた。
凛月くんは部活や授業、アイドル活動に参加するようにはなってきたのだが再び癖になっては困るのでまだ避けてほしいと二人に言われていた。
「はぁ………」
「わっはっはっはっはっ!」
「キャッ!?」
いきなり後ろから高笑いが聞こえてきたので何事かと振り返る。
「レ、レオ様!?んもうやめてください驚かすの!私がビビリ症って知ってますよね!?」
「茜!うっちゅ~っ!」
私の怒りをスルーして呑気に挨拶をしだした。王様と呼ばれているのでレオ先輩よりレオ様の方がしっくりきたのでそう呼んでいる。
Knights…騎士なのに王様って違和感しかなかったからね。
「うっちゅ~ですレオ様。今日のインスピレーションはどうですか?」
「絶好調さ!ついさっきまでインスピレーションがとまらなかったんだ!」
再び高笑いしてレオ様ははっ!と突然動きを止めた
「…………っ!はっ!わきあがる!インスピレーションが!早く書き留めないとっ!!」
「…お忙しいですね………」
「書くものっ!何か書くものっ!」
私はかばんの中からシャーペンと手帳を渡した
レオ様は一枚破ってガリガリと書き殴っていく。
「あ、そういえば茜。最近リッツと一緒にいないなぁ…?リッツ寂しそうだぞ?」
「え…?あー、そうですね…。最近一緒にいませんねぇ…。まぁ、うん。こうしてる方が私的にも助かりますので。」
「えっ!?喧嘩でもしたっ!?」
「いえしてません。ていうか…嬉しそうですねぇ…」
レオ様はパァァと顔を輝かせ、ブツブツ呟き始める。
「カップルの喧嘩から…宇宙人が仲裁…」
何だかとんでもないことになっている。
邪魔をしたら怒られそうなので大人しく引き下がることにした。